外交

外交において特筆すべきことは、中華人民共和国政府が自らを「『中国』の正統な政府」であるとしている点である。中華人民共和国は、冷戦構造の下、建国当初は完全に東側陣営に組み込まれていた。しかし、スターリン死後の中ソ対立を経て、1970年代初頭からアメリカを始めとする西側との関係の回復を果たし、同時に中華民国に代わって国連安保理の常任理事国となった。また、冷戦下における西側諸国とソ連との対立関係の微妙なバランスの中で、「中国を代表する正当な政府は、中華民国ではなく中華人民共和国である」という既成事実を西側諸国の多くに確認させる一つの中国政策も成功を収めた。

1978年から始まる経済改革以降、経済面での資本主義諸国との関係も強め、2001年には世界貿易機関にも加盟した。近年、APECやASEANプラス3の他、ロシア、中央アジア諸国と連携を強化し(上海協力機構)、また、東南アジア諸国とも自由貿易協定締結を合意するなど経済活動を絡めた積極的な地域外交を展開している。日本に対しては胡錦涛政権は、対日新思考を打ち出した(下記「日本の関係」も参照)。

区分としては開発途上国に含まれるため、国際会議等で「開発途上国の代表」と表現されることがある。また、開発途上国のため日本などの先進国から長年に渡り膨大な開発援助を受けているが、一方で他のさらに貧しい国に対して、国際的影響力を確保することを目的として開発援助を行っている。

急速な成長を遂げる中華人民共和国に対して、周辺諸国やアメリカは警戒感を持ち(中国脅威論)、また、人権問題や両岸問題、国境問題など、中華人民共和国の国際関係は緊張をはらむ側面もある。

中華人民共和国政府は、人権抑圧国家と言われているスーダン、ミャンマー、ジンバブエ、イラン、北朝鮮などの国々との関係を深めている。例えばスーダンのダルフール紛争の大量虐殺に対する国際介入に反対する動きをとっている。また、近年になりイスラム過激派テロ組織に武器・弾薬を横流ししている疑惑が暴かれた。こうしたことから欧米諸国の知識人やマスコミは、中華人民共和国政府を「自由と人権の敵」として批判することが多い。

おすすめ情報

    領土問題

    国境地域において複数の国々と境界線や島嶼部を巡って領土問題を抱えている。なお、長らく国境線の問題を抱えていたロシアとは、国境の確定が完了している。

    • 中国本土(中華人民共和国実効支配地域)(中華民国)
    • 台湾(中華民国実行支配地域)(中華民国)
    • 尖閣諸島(魚釣島)(日本、中華民国)
    • 西沙諸島(パラセル諸島)(ベトナム、中華民国)
    • 南沙諸島(スプラトリー諸島)(中華民国、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ)
    • マクマホンライン(アルナーチャル・プラデーシュ州)(インド)
    • カシミール(アクサイチン)(インド、パキスタン)
    • 蘇岩礁(離於島)(韓国)
    • 間島・白頭山(韓国)

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