軍事
中華人民共和国の憲法によれば、形式的には、国家中央軍事委員会は中国人民解放軍(現役部隊、予備役部隊)、中国人民武装警察部隊、中国民兵など全国の武力を指導するとある。しかし現実は、中国共産党の党中央軍事委員会がほぼ国家中央軍事委員会のメンバーを兼ねており、実質的には共産党が軍・警察を支配している。近代化のために近年は兵力削減傾向にあり、総兵力は約150万人となった。
チャイナ・ネットによれば中華人民共和国には兵役制度が 存在しており、選抜徴兵制と呼ばれている。青年らは何らかの形で武装警察、あるいは現役の正規軍に任務につき、任務後は民兵の任務に就くことが可能であ る。こうした準軍事組織は150万人の武装警察、600万人の民兵があり、削減された解放軍兵士の受け皿にもなっている。有事の際には民兵組織は各人民公 社ごとに組織され、人民公社を拠点とした遊撃戦を行うとみられる。
- 陸軍
- 海軍
- 空軍
- 第二砲兵部隊 - 戦略ミサイル部隊兼宇宙軍
- 武装警察部隊 - 党所有の準軍事組織
- 中国民兵 - 党所有の準軍事組織
おすすめ情報
軍事費
中華人民共和国の軍事費については諸説あり、中華人民共和国政府が公表した軍事費と他国の政府や軍事研究機関が推計した軍事費を比較すると大きな差がある。ストックホルム国際平和研究所の統計によると、2008年度の中華人民共和国の軍事費は為替レートベースで849億ドルで、アメリカ合衆国に次いで世界で2位(世界シェア5.8%)であり、1999年〜2008年の10年間で194%増加した。前期の軍事費は国外から調査・推計が可能な範囲内の推計値であり、実際の軍事費は推計値よりも多い可能性がある。
民主的政治制度が確立している国では、政府の収入と支出の予算案も、立法過程も、可決された予算も、予算の執行も、今年度および過去年度も含めて書 籍とウェブで公表され、誰でも閲覧できるが、独裁政権が統治している国は、民主国家と比較して政府の情報公開度が低く、公開された情報には隠蔽・歪曲・誇 張された情報が含まれているので、公開された情報の信用性は低い。
中華人民共和国の軍事費の増加をアメリカ合衆国が非難をしており、中華人民共和国は「中国の国防は防御的なものであるし、今までの歴史に他国を侵略したこともない」と覇権目的ではないと反論している[25]。しかし、中国人民共和国は建国以来、新疆ウイグルやチベットを武力併合、ソ連やインド、ベトナム、中華民国などと国境紛争を起こした上に、現在も日本やフィリピンなど多くの近隣諸国と領土問題を抱えている。
中華人民共和国は湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争などで、アメリカ合衆国軍の軍事兵器や軍事システムや戦闘スタイルの革新による軍事的成果に影響されて、軍事兵器や軍事システムや戦闘スタイルの革新に力を入れている。軍備近代化を印象付ける出来事として2007年1月18日、中華人民共和国が過去に打ち上げ廃棄処分となっていた人工衛星を弾道ミサイルによって破壊する実験を行い成功した。この実験に対しNASAは、宇宙開発への危険性は無いもののこの手の実験に関する懸念を表明した。2007年2月21日には国連の宇宙空間平和利用委員会では宇宙空間での人工衛星破壊を禁止する法案が採択された。
アメリカ合衆国やイギリスは、中華人民共和国は核戦力や、武装警察、在外公館の警備などを軍事予算に計上しておらず、最終的には公表の2〜3倍以上 になると推計し、中華人民共和国の外務省もその事実を認めている。具体的には国防科学研究費、民間防衛や民兵予備役の費用は列挙されていない。ロシアから の武器購入費30億ドル、戦略ロケット部隊の開発と運用部隊の維持、兵器の研究開発費である。また、兵器開発についても中華人民共和国は兵器装備を研究・ 製造していた第2工業部から第8工業部までの費用は国防費ではなく、国務院の支出に計上されており、その後この7つの省庁はすべて民生品生産を主とし合わ せて軍事品を生産する集団公司に改編されたと主張した。とはいえ、これは民間とのアウトソーシングを進める新人民戦争理論に基づくものとみられ、周辺国は 注視している。
ただし、軍事も他の分野も、統計や分類の方法は個々の国や研究機関により異なるので、軍事予算の範囲としてどこまで含めるかは各国政府や軍事研究機 関により異なる。統計を国際比較する場合は各国政府や個々の研究機関により異なる統計や分類の方法を、何らかの基準(通常は一般的な定義、多数派の定義) に補正・整合して比較する。
軍事予算の一般的な(多数派の)定義で軍事予算に含む経費とは、人件費、軍事組織の運営費(食料・飲料費、水道・電気・燃料(石油・ガス・ウラン・ プルトニウム)費、通信費、医薬品の購入費、軍の医療施設の運営費、軍事施設の運営費)、武器の購入費や補修費(外国からの輸入分も含む)、軍事目的の研 究開発費、軍事施設の建設費、沿岸警備隊や国境警備隊の経費、軍人の教育研修費、軍人や家族の住宅の建設費や運営費である。
軍事予算の一般的な(多数派の)定義で軍事予算に含まない経費とは、政治・軍事目的の対外的な資金援助は外交予算、退役軍人に対する医療費・老齢年 金・遺族年金・障害者年金・障害者手当ては社会保障予算、軍歴に対する報奨としての奨学金は教育予算に分類するので、軍事予算には含まない。