両岸関係と人権

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    両岸関係

    「両岸」とは台湾海峡を挟んだ中国大陸と台湾の海岸を指しており、そこから「両岸関係」は台湾を実効支配する中華民国と中華人民共和国との関係を指す言葉となっている。

    1946年から激化した国共内戦に勝利した中国共産党が1949年に中華人民共和国を中国に建国、同年中に国民政府は、日本が領有権を放棄した後に実効支配した台湾に移った。それ以来、中華人民共和国は中華民国と「中国における正統政府」の座を巡って対立し、両国共に互いの統治する地域の支配権を主張して譲らなかった。

    そのために、中華人民共和国政府は国際連合における「中国」代表権を求めて諸外国に外交的にはたらきかけた他、「中華民国政府が実効統治している台湾を中華人民共和国の領土」とみなして領有権を主張し、「台湾解放」の名の元に金門島へ の砲撃を度々行なった。その後、冷戦下におけるアメリカとソ連の間の対立や、ソ連と中華人民共和国の対立の激化などの政治バランスの変化に伴い、中華民国 が国連の「中国」代表権を喪失して国際的に孤立し、中華人民共和国も改革・開放を推進するようになると、中華人民共和国政府は「一国二制度」といった統一の枠組みの提案や「三通政策」といった穏健的な統一政策を通じて両岸関係の改善を図った。1992年には両国政府関係者が「一国共識、各自表述(「一つの中国」を共通認識とするが、解釈はそれぞれが行う)」の統一原則を確認するまでに至った。

    だが、1990年代に入ると、中華民国では李登輝中華民国総統による政治体制の民主化が進められ、それに伴い中華民国では、中華民国とは別個の「台湾」という国家を創り上げる台湾独立運動(台独運動)が活発化し始めた。このような動きに対し、中華人民共和国は総統選挙(1996年から実施)における台独派(泛緑連盟)候補者の当選阻止を目指して軍事演習で威嚇するなど強硬姿勢をとった。しかし、いずれの選挙においても阻止するには至らなかった。このことを教訓としてか、2005年3月14日には中華人民共和国で反国家分裂法が成立した。この法律は中華人民共和国による中華民国の武力併合に法的根拠を与えることを名目とする。こうした経緯で、今日の中華民国と中華人民共和国の関係は、台湾問題として東アジア地域の不安定要素とみる見方も一部で存在する。

    中華民国にも「台独」に反対する「中国派」の人々(泛藍連盟)が存在している。こうした動きにおいては、中国国民党が有力な存在である。国民党党首・連戦は、2005年4月26日〜5月3日にかけて中華人民共和国を訪問、共産党党首・胡錦濤と60年ぶりの国共首脳会談を実施した。

    2008年に中国国民党の馬英九が中華民国総統に選出され、中華民国で8年ぶりに国民党政権が戻ってきてからは、両岸関係は改善傾向がみられる。また、近年の中華人民共和国の経済成長を反映して、中華人民共和国と中華民国の経済関係は非常に深まっている。2008年12月15日には、「三通」が実現した。

    人権(精神の自由の制限)

    中華人民共和国では、報道は新華社通信、人民日報、中国中央電視台などの報道機関が世界的に知られている。改革開放以後は新聞はタブロイド紙が爆発的に増え、テレビは地方局が多数開設された(キー局は 中央電視台だけである)。そのため、「御用報道機関」である上記の3大報道機関の影響力は相対的に低下している。一方、新興報道機関は中小多数で熾烈な報 道合戦を展開している。そのため大衆の好奇心を刺激する論評で大衆の関心の高い事柄を報道するが、そのうち政府への批判的な報道は当局から「整頓」と呼ば れる修正を命じられることが多い。そのため、「上と下を見つつ報道」しているといわれる[12]。

    中華人民共和国政府は検閲での情報操作(香港・マカオは除く)を行っている。政府に対してマイナスと認識した報道を規制している。

    反日活動に おける中華人民共和国政府の関与については見解が別れる。西側諸国においては中華人民共和国政府が情報操作、もしくは一時的に故意に報道管制や言論の自由 を緩めることで「反日活動を事実上行わせている」との見解が多い。つまり体制批判ができないためそのガス抜きとして日本をはじめとする外国に対する批判を 粉っているというものである。この見解とは逆に、中華人民共和国政府が日中関係への影響や国際的イメージの悪化を懸念し、反日活動の過激化を扱いかねているとの見解もある。いずれにせよ検閲による情報操作は下の項目の日中間の「歴史教育問題」にも大きな影響を与えている。

    服役中である著名な民主活動家(著作家)である劉暁波は2010年のノーベル平和賞の最有力候補に挙げられ、中国政府は不快感を示していた。そしてついに、中国政府はノルウェー・ノーベル賞委員会に対し、「劉暁波に授与すれば中国とノルウェーの関係は悪化するだろう」と圧力をかけ続けていた。しかしノルウェー・ノーベル賞委員会は圧力に屈することなく、2010年10月8日に、劉暁波に対しての授与を決めた。これは、中国国籍を有する中国人として初のノーベル賞である。 またノーベル平和賞受賞が決まった劉暁波氏が中国共産党一党独裁の廃止を求めて起草した「08憲章」の署名者の1人で劉暁波氏の釈放を呼び掛けている北京映画学院教授の崔衛平が中国公安当局に連行されていたことも明らかになり中国に自由はない事を中国の自治区香港が立証している

    インターネットへの検閲行為

    中国国内では、インターネット上のウェブページで、反政府や同盟国の北朝鮮を中傷するページを閉鎖、または回線を切断させたりしていることが多い。

    2004年11月には検閲されていない違法なインターネットカフェ1600店あまりを摘発し、更にはネット上で政府を非難する自国人を逮捕しメールの文章も検閲内容として規制されている。Yahoo!などのアメリカ企業も政府の検閲に協力している。こうした企業に対しては、国際的に多くの人々が、中華人民共和国国内での言論の自由を奪っていると非難している。

    しかしながら、Googleはかつて中国中央政府の"要請"で検閲に協力していたが、2009年12月にGoogleのサービスである『Gmail』が中国国内からハッキング攻撃を受けたとして、態度を急速に硬化、インターネット上での"フィルタリングサービス"を一方的に『解除』を宣言、中央政府との関係が悪くなった結果、Googleは中国から"移動"し、香港にてGoogle谷歌のサーバーを"稼働"させ、中央政府支配地域から"撤退"した。

    こうしたネット文化の進展にともない、中華人民共和国政府はネット規制システム「金盾」をバージョンアップさせた。非常に巧妙化されたシステムであ り、一見、巧妙に規制されているとは考えづらい構成となっている。その一方で、そうした検閲、規制を回避するためのシステムも一部で配布されているとみら れ、傲游などがその典型である。中華人民共和国政府はネットに関する取り締まりを日々強化しており、毛沢東やケ小平の時代のような、報道規制、情報規制を目指しているとみられる。

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